1923-01-28 尾道、尾崎倶楽部での映画上映中の火事

2022-08-16
尾道関連の本をNDL個人送信で検索して読んでいる際に、昔から気になっていたことが書かれている文献に気がついた。浄土寺の境内に、石段下の近くにあった尾崎倶楽部で映画上映中に火事になったときの慰霊塔がある。
宮沢清治「ウエザー冗っ記 ある火災パニック」(『気象』1990年3月号)と『広島県警察百年史』上巻 1971 p.686-687 によると、1923-01-28(大正12年)、2階にある40畳の大広間に観客が350人も(うち15歳以下が3分の1)つめかけた活動写真会で、突然停電して真っ暗闇となり、映写技師が持ってこさせたローソクの火が映写機のフィルムに引火したが、フィルム以外への延焼はまぬがれた。しかし、その火や煙、悪臭にあわてた観客が1ヶ所しかない階段に殺到し、倒れ押しつぶされるなどして、死者19人、重傷者8人、軽症者14人。死者の半数は1歳から11歳であった。
碑文の翻刻が http://minihenro.main.jp/b33/joudoji/joudoji_b33_img01.htm にあった。またこれに関する裁判の記録が http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~mtadaki/seminar/resume/2011/09k.pdf にあった。
父から、(自分が幼い頃)慰霊の作文を書かされたと聞かされたことがあるのだが、火事ではなくパニックでの惨事であるとは知らなかった。父が生まれる前の出来事だが、その頃には慰霊祭などがおこなわれていたのであろう。映画「転校生」の男の子の家の数十メートル西で、「ニュー・シネマ・パラダイス」のような可燃性フィルムに起因する悲劇があったのだ。映画の街と言われるようになった尾道の映画遺跡のひとつだと思う。お盆の供養としてここに記しておきたい。あと5ヶ月で100年目の日をむかえる。
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